小野寺史宜『ひと』祥伝社 ★★★★★
【内容】
父と母を順番に亡くし、一人になった主人公の柏木聖輔は大学も中退せざるを得なくなり、たまたま通りかかった総菜屋でアルバイトを始めることになった。淡々と日常を過ごし、その中で、優しい人とのつながりや嫌な人との関わりもあるが、特別大きな事件が起きることもなく、普通にありそうなことを優しく描いている。
【感想】
この作者の本『ライフ』を今年になって初めて読んで、日常を優しく描いた作品で安心して読めると感じた。この本も同様に安心して読める。読みやすく、一気に読めてしまう。特別内向的なわけではないし、やんちゃなわけでもなく、普通にいそうな青年を普通に描いている。イヤな人も、ものすごい悪役というほどでもなく、実際にいそうな感じで、そのような人に対する主人公の聖輔の対応もいい。友達とのかかわりや、職場の人との関わり、少しずつ人間関係が構築されている感じがとても丁寧に描かれている。
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