夢枕獏『神々の山嶺 上・下』集英社文庫 ★★★★☆
山岳写真家の深町がエヴェレストアタック失敗に終わり、そのまま滞在していたカトマンズで、登山家のマロリーが世界初のエヴェレスト登頂を成し遂げたことを証明することになるかもしれない古いカメラを見つける。真実に迫ろうとする深町はその過程で羽生丈二という登山家について深く知ることになり、引き込まれていく。
登山の様子が仔細に描かれていて、標高7000メートル、8000メートルという場所で過ごすことがどういうことか臨場感あふれる描写がとても面白いい。羽生に魅了されていく深町も、エヴェレスト登頂を夢見ることになるのは当然であったと思う。
高山で意識がもうろうとする中の心理描写もとても丁寧に描かれているが、途中で少しその描写が長すぎると感じたところもあった。
最後に深町と羽生丈二が出会うところがとてもよかった。骨太で面白い本だった。
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