縁

小野寺史宜『縁』講談社　★★★★★

少年サッカーのコーチをしていたが、ある事情からやめることになった室谷忠仁、自分の中の正義を曲げらず、周囲に苛立つことが多い春日真波、大手印刷会社で働いているが、出世の見込みはない田村洋造、母子家庭で大学生の子供を育てる国崎友恵のそれぞれの物語からなっている。それぞれの物語がすれ違う程度に少しずつ重なる。最後の物語の息子がとても素敵に育っていて、涙が出た。

周囲から見て嫌な人の心の内も、ものすごく共感できる。さらさらとあっという間に読めていい物語だった。