夏川草介『スピノザの診察室』水鈴社 ★★★★★
【内容】
妹を病気で亡くし、その一人息子を引き取って育てることになった主人公の雄町哲郎。非常に優秀な医者であったが甥っ子を育てるため、大学病院を退職し、町の医者になる。大学病院と町の医者の医療の違いを感じながら、患者に寄り添う医者の物語。大学病院の元同僚たちは、雄町哲郎の手術の腕や医者としての技術が一流であることを認めているため、大学病院を去ってからも病院に戻るよう誘うが、雄町は町医者を続ける。町医者を続けてはいるが、大学病院での難しい症例や手術により治せる医療にも、町の病院での看取りに近い寄り添う医療にも、どちらにも興味を失っていない。スピノザは哲学者の名前。
【感想】
穏やかで、冷静で技術も一流という最高の医者。最後の話の「おおきに、先生」のところは涙があふれた。映画やドラマ化されそうな話。
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